【イベントレポート】4/22・23開催 地域共創ワークショップSTACON EAST

  • 駅たびコンシェルジュ
慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)の玉村雅敏教授と、全国各地で活動してきた「地域おこし研究員」が講師となり、実例を用いながら地域共創についてお話をいただくSTACON EAST。

▼STACON EASTの概要はこちら

今回は、最終回となった4月22日(駅たびコンシェルジュ福島)、4月23日(駅たびコンシェルジュ新潟)のワークショップの様子をお見せします!

▼2月・3月の様子はこちら

4月の講演テーマ『人々の“つながりのチカラ”を活かす、交流と定住の実践モデル』

4月の回では、岩手県花巻市地域おこし研究所より高橋秀行さん、鹿児島県大崎町の地域おこし研究員経験者である宮下功大さんに講演をしていただきました。

テーマ①“対話”を取り入れたスポーツ合宿

4/22@福島講演より
高橋さんからは「花巻の地域資源の活用と対話を取り入れたスポーツ合宿のまちづくり」というテーマでの講演を行っていただきました。

高橋さんは当初、花巻市の小規模高校の魅力化やぶどう農家の高齢化・後継者不足を研究テーマにしようと考えていたそうですが、既に様々な取組みがされており、改めて考え直した際に「スポーツ」というテーマに行きついたんだそう。その背景として、花巻市には全国屈指のソフトボール施設や、花巻温泉があることがあげられ、これらを活用し合宿地として盛り上げられるのではないか?と思い、この研究テーマにされたそうです。更に高橋さんは、合宿先として花巻市を選んでもらうために、短期間でチーム力を向上させる花巻市ならではの「対話によるチームが強くなる合宿メニュー」を作成しました。この合宿メニュー実践の場には県内外の高校から複数のソフトボール部が参加しました。合宿中は、対話をしながら生徒がスタメンを決定する他、試合後に対戦相手との振り返りワークショップを行う等、通常の試合では行われない経験をしてもらったそうです。また、生徒だけでなく指導者向けの研修や職員ファシリテーター養成講座も行なったことで、部員・指導者それぞれがコミュニケーションに対して大きな意識改革が出来たそう。

今後はソフトボールだけでなく、他のスポーツへの展開や市民も参加できる形を検討されていくのだそう。
参加者からも、部活動時代を振り返り「思えばあの頃部室で話していたものが対話で、それが良い効果を生み出していたのかもしれない!」といった実体験に基づく感想をいただきました!

テーマ②“リサイクル率日本一”を14回達成する町の地域協働のありかた

4/23@新潟講演より
宮下さんからは「“リサイクル率日本一”14 回達成を実現する鹿児島県大崎町ー住民・企業・行政による地域協働のまちづくりとグローバル展開」というテーマでの講演を行っていただきました。

大崎町は「コミュニティ型リサイクルシステム」として、住民、企業、行政の協働により徹底したごみの分別によるリサイクルの取組みを行っているのだそう。宮下さんはこの取組みを実施するにあたり、行政側がどのようなアプローチをし廃棄物処理問題に取り組んできたのかを明らかにするための研究を行ってこられました。

大崎町がリサイクルの町となる以前は、埋め立て処分場のひっ迫に直面していたそうです。町内に焼却炉はなく、新たに建設するにも膨大な費用がかかり、何とか焼却をしたとしても高コストになるということから、課題を住民と共有しはじめ、住民組織である衛生自治会の確立に至ったのだそう。基本的にはごみを出す全ての世帯が加入する登録制としており、資源ごみ(月1回)は当番が立ち合う他、分別品目数27品目、ごみ袋への記名、違反ごみは未回収といったルールが確立されているんだとか。分別品目数27品目は驚きですね!

この取組みの成果によって、1998年から2020年までの実績はこのように変化しました。
・埋め立て処分場の延命 2004年まで⇒2060年以降まで
・リサイクル率 0.8%⇒83.1%
・埋め立てごみ量 約85%の削減
1人当たりのごみ処理事業経費は他自治体よりも低い水準となっており、浮いた分の費用は福祉や教育等の分野で活用しているのだそう。

ここまでの取組みに対する行政のアプローチとしては、衛生自治会の立ち上げ・役割の明確化、更に実行段階では昼夜休日を問わない住民説明会の実施(なんと計450回!)、衛生自治会導入から数カ月は全148班への立ち合い分別を実施されてきたそうです。行政のリサイクルに対する意識を住民の方々も感じ取り、次第にリサイクルに対する意識も変わっていったのだとか。今後はごみだけでなく、ヒト・モノ・経済全てが循環する町をつくりあげていくために取組みを続けていかれるそうです。

参加者からの「町の人の消費行動にも影響があるのか?」という質問を受け、「個人的には餡かけなどトレーを洗わなければいけないものや、パッケージの分別がしにくいものは自然と避けています」といった回答をいただきました。置かれた環境で、自然と消費に対する意識も変化するのかもしれないですね。
3カ月に渡って開催してきたSTACON EASTも今回で終了となります。興味深いテーマ・講演はありましたでしょうか?
ご登壇いただいた皆さま、ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!
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