大自然の恵みを存分に味わえる!【長野県・野沢温泉村】

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野沢温泉※奈良屋旅館提供。

野沢温泉村ってどんなところ?

野沢菜漬け

※奈良屋旅館提供。

みなさんは<野沢温泉村>をご存知でしょうか。長野県の北東部に位置する村で、面積は57.96㎢、人口は3,110人(2022年11月1日現在)の小さな村です。1272年に湯山村として記録され、1837年には天領として湯宿が24軒あったといわれています。その後、1889年の町村制施行により発足した豊郷村が1953年8月18日に<野沢温泉村>に改称し、編入や合併を行って現在に至ります。ちなみに、村名に「温泉」と付いているのは日本で唯一。


「野沢」と聞くと真っ先に思いつくのが温泉か野沢菜漬けかと思いますが、その野沢菜はこの<野沢温泉村>を中心に栽培されてきた野菜です。1756年に村内の健命寺住職が大阪市天王寺で栽培されている天王寺蕪の種を持ち帰り、その子孫が野沢菜になったと言い伝えられ、境内には野沢菜発祥の地碑があります。

村内の代表的な名所をご紹介!

麻釜(おがま)

村の天然記念物に指定されており、かつて、刈り取った麻を<麻釜>の湯だまりに浸して皮を剝きやすくしていたことが名前の由来とされています。現在は村の人々が野菜や山菜、卵を茹でたりする場所として使用されており、野沢温泉の台所と称されています。この<麻釜>には5つの湯だまり(大釜、茹釜、丸釜、竹伸釜、下釜)があり、それぞれ温度が違うため、温度に応じて野菜を茹でたり、卵を茹でたりと使い分けているそうです。

※<麻釜>は外からは自由に眺められますが、危険防止と管理運営のため限られた人以外の立ち入りは禁止されておりますのでご注意下さい。なお、一部の外湯やミニ温泉広場「湯らり」では温泉卵を作ることができます。卵は温泉街の商店でお買い求めください。
麻釜
このエリアに大釜、茹釜、丸釜、竹伸釜の4つがあり、下釜はここから少し下ったところにあります。
5つの湯だまりの1つである大釜。

外湯

野沢温泉には13もの<外湯>と呼ばれる共同浴場があり、いずれも天然温泉のかけ流しを楽しむことができます。このように天然温泉が楽しめるのは江戸時代から続く、村の人々からなる「湯仲間」という制度のおかげで、外湯を地域の共有財産として大切に管理しているからです。
外湯めぐりをするのも良いですね。

<外湯>
秋葉の湯、麻釜の湯、大湯、上寺湯、河原湯、熊の手洗湯、十王堂の湯、新田の湯、真湯、滝の湯、中尾の湯、松葉の湯、横落の湯
野沢温泉のシンボルと言える大湯。美しい湯屋建築が目を引きます。
麻釜の湯。こちらは麻釜と書いて「あさがま」と読みます。

野沢温泉スキー場

温泉と並んで野沢温泉村を代表する名所が<野沢温泉スキー場>。2023年に100周年を迎えるこのスキー場は、標高1,650mの毛無山を中心に温泉街に向かってゲレンデが広がっており、そのコース数は44。パウダースノーが特徴で、国内外を問わず多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れます。

スキー場と聞くとどうしても冬をイメージしてしまいますが、夏から秋にかけても一部のゴンドラが運行されており、山全体が深い緑に染まる夏や赤や黄色、橙などに彩られる秋に訪れるのもお勧めです。筆者は秋に初めて訪れましたが、天気は生憎の曇りだったものの周囲の山々を彩る美しい紅葉や眼下に広がる温泉街と飯山の街並みに圧倒されました。

なお、ゴンドラには床がスケルトンタイプのものや<野沢温泉スキー場>のゆるキャラ「ナスキー」がデザインされたものがあるので、どれが来るか楽しみですね。
山頂からの美しい眺め。

※野沢温泉スキー場提供。
紅葉の中を進むナスキーゴンドラ。
<野沢温泉スキー場>公式ホームページ

野沢温泉蒸留所

2022年12月15日(木)にオープンした<野沢温泉蒸留所>。元は缶詰工場だった場所をリニューアル。内部はコンクリートや鉄筋が剥き出しながらも、蒸留所らしく樽がたくさん配されているので、木材の温かみも感じられるデザインとなっています。また、缶詰工場だった頃の機材が1機残されているので、当時の様子も伺い知ることができます。

この蒸留所で作られているのは、スピリッツの1つであるジン。マティーニやジントニック、シンガポール・スリングといったカクテルで有名ですね。西洋ネズと呼ばれる針葉樹の実であるジュニパーベリーを用いて作られるジンですが、そこに野沢温泉村の自然の恵みが加えられている点が特徴で、野沢温泉村の周囲の山々に降った雨や雪は、およそ50年もの歳月をかけて美味しい湧き水として村内を巡り、その湧き水とボタニカルとして地元産の杉や黒文字などを使用して作られています。使用する素材は、蒸留責任者が実際にそれぞれの素材を嗅いだりして選定しているそうですが、1つの植物でも葉、花、幹、枝、根で香りが異なるそうです。一口にジンと言っても奥深いですね。

今回、試飲をすることはできませんでしたが、訪ねた際にボトリングされていたCLASSIC DRY GIN、NOZAWA GIN、IWAI GINの3種類の香りを楽しませていただきました。CLASSIC DRY GINは基本的なジンらしい香りが特徴。NOZAWA GINは地元産の杉や黒文字といった木々が使用されているので、まるで森の中にいるような、お酒らしさがありながらもどこか落ち着く香り。最後のIWAI GINは春から夏のグリーンシーズンをイメージして作られていることから爽やかな香りが特徴。個人的にはNOZAWA GINの香りが好きでした。飲んでみたかった…!!
樽がたくさん並ぶ建物内部。
左からNOZAWA GIN、CLASSIC DRY GIN、IWAI GIN。

テイスティングしに行ってきました!

この記事を最初に執筆しておよそ3か月後に再び<野沢温泉蒸留所>へ行き、前回できなかったテイスティングをしてきました!
前回訪ねた際はNOZAWA GIN、CLASSIC GIN、IWAI GINの3種類の展開でしたが、1種類新たに追加されておりました。その名は「SHISO GIN」。野沢温泉街の中心にある「Haus St.Anton(ハウス サンアントン)」手作りの赤紫蘇から作られたジュースが使われ、更に青紫蘇と長野県中野市産のアップルウッドが加えられております。なので、紫蘇ならではの風味がありながらも爽やかな味わいも楽しめる一品となっています。他の3種類も同じくテイスティングしましたが、どれもコンセプトに基づいたしっかりとした味わいを感じることができました。

今回テイスティングした4種類のジンは、いずれも世界的な評価を受けており、2023年4月にアメリカで開催された国際的種類品評会「The San Francisco World Spirits Competition 2023」のジン部門で国内最多となる4つの金賞を受賞。
また、ロゴマークをはじめとした各デザインはドイツで行われた「Red Dot Award 2023」のBrands & Communication Design部門でBest of the Bestを受賞。ジンとしてだけでなくそのデザイン性やブランド性も高い評価を受けております。

ふるさと納税でもお買い求めいただけるようになりましたが、現地に行くとスタッフさんのお話を聞きながらこの4種類を500円(※)で気軽にテイスティングできるので、みなさまも野沢温泉村にお越しの際は<野沢温泉蒸留所>にお立ち寄りください。

※2023年4月現在。
一番右の赤いマークのグラスが新登場のSHISO GIN。
ボトルを使用したお洒落な照明。
<野沢温泉蒸留所>公式ホームページ

旅館に泊まろう!

奈良屋旅館

先ほどご紹介した麻釜から程近くに佇む全9室の小さな湯宿。創業は大正元年で、築100年を超える老舗でもあります。大きな梁や太い柱、輝く程に磨き上げられた床など、木の温もりを存分に楽しめる造りで、民家造りの高い吹き抜けに圧倒されます。
木の温もり、女将の温かい接客、温かい温泉と3つの温かさでおもてなししてくれます。
木の温もりを感じられる民家造りの建物。
自家源泉掛け流しのお湯が楽しめる内風呂。
<奈良屋旅館>公式ホームページ
<奈良屋旅館>へのお泊りは「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」でのご予約がオススメです!

旅館 さかや

外湯の1つ大湯の隣に位置する、十八代続く老舗の湯宿<旅館 さかや>。敷地内から自然湧出する源泉を加水せずに温度調整することで、温泉本来の成分が失われることなく楽しむことができます。また、その温泉に宮大工による伝統の湯屋建築造りの大浴場で入れる点も魅力の1つで、昼間でも薄暗い独特な雰囲気は温泉情緒に溢れ、日々の疲れを解きほぐしてくれる癒しの空間になっています。

※写真は2点とも旅館さかや提供。
夕闇に輝く旅館 さかや。
自家源泉の硫黄泉が楽しめます。
<旅館 さかや>公式ホームページ
<旅館 さかや>へのお泊りは「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」でのご予約がオススメです!

最後に

大自然を存分に味わえる<野沢温泉村>、いかがでしたでしょうか。
芽吹きの春、緑滴る夏、彩り豊かな秋、白銀の冬と四季を通じて自然を体感できるところが魅力です。
ぜひ、<野沢温泉村>にお越しください。
<野沢温泉観光協会>公式ホームページ
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