創業132年!岩手唯一の駅弁屋さん【弁当 一関のしょう月堂(斎藤松月堂)】
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それが列車旅なら、楽しみの一つに駅弁がありますよね。
色とりどりの掛け紙を剥がして車窓を眺めながら頬張るお弁当の味は、まさに非日常の代表格!
そんな駅弁の中でも、今回は岩手を代表する老舗の駅弁屋さん、「弁当 一関のしょう月堂」を運営する「斎藤松月堂」斎藤社長に歴史をインタビューし、さらに今イチオシのお弁当を教えてもらいました♪
斎藤松月堂の歴史~前編~
斎藤松月堂はなんと創業132年!(2024年時点)鉄道と共に歩んできた長い歴史があります。
そもそも駅弁ができたのは明治18年(1885年)、宇都宮駅開業時に「白木屋」という旅館が販売したものが初めと言われています。
斎藤松月堂も明治23年(1890年)のJR一ノ関駅の開業から3年後に駅に支店を開き、初めはお菓子や雑貨・蕎麦を売り始めました。
今ではすっかり老舗の駅弁屋さんですが、当時は弁当販売はしておらず、蕎麦が大人気だったそうです。
その人気のあまりか、ついには蕎麦の販売を国鉄が直接行うということで、やむなく支店を撤去したそう。(※蕎麦販売については諸説あるようです)
そこで新たに始めたのが駅弁だったのです。駅弁を始めたのは、昭和2年(1927年)頃のことでした。そこへ漕ぎつけるまでの苦労がうかがえるお話です。
時は流れて現代の令和……斎藤松月堂の駅弁は97年目。人気のお弁当を3つご紹介いたします!

おすすめのお弁当①:平泉うにごはん
こちらは平成4年(1992年)の発売から32年間長く愛され続け、ウニの風味と味にこだわりながら、何度もリニューアル再販している看板商品。
一ノ関駅は世界遺産「平泉」への旅行者でにぎわう駅で、日本だけでなく世界中からの旅行者がこの駅へ訪れます。そんな黄金文化を連想させる金色をウニで表現した、旅行者にピッタリなお弁当なのです!
敷き詰められたうにの中にさくっと箸を入れる瞬間は、思わず子供に戻ったようにワクワクしてしまいます。
ほんのりと香るうにの甘みを口いっぱいに感じた後は茎わかめをちょっとかじると、さっぱりとして味覚をリセットでき、またうにを堪能できるバランスの取れた配分です♪

タイのテレビ番組に…?!
『平泉うにごはん』を買った方に必ず見てほしいのが、掛け紙下の外国語。
よく見てください……英語、中国語に並んで、なんと珍しいタイ語の表記が!
きっかけは、斎藤社長がタイの知人に「タイ語の表記を入れます!」と約束したことから、中国語よりも先にタイ語が載せられたとのこと。
これがとにかくタイで話題となり、タイのテレビ番組で特集され、タイ国内で有名な俳優さんが『平泉うにごはん』を食しに来たそう。
そんなインバウンド需要にも応えた斎藤社長はこのことを「日本で一番最初にタイ語を入れた駅弁」と語り、「宇宙創成以来初」と誇らしげに笑っていました。
おすすめのお弁当②:盛岡じゃじゃ麺と牛めし弁当
近年地域性が高まる駅弁ですが、盛岡を象徴する駅弁はこれまでありませんでした。そんな時に発売されたのが『盛岡じゃじゃ麺と牛めし弁当』!
盛岡じゃじゃ麺は盛岡冷麺と並ぶ市民のソウルフード。新幹線改札内で売られる盛岡じゃじゃ麺の駅弁を見るたびに、喜ばしい気持ちになった市民も多いはず。
これを開発したのは、斎藤社長に岩手を背負っていきたいという願いがあったからこそ。
岩手唯一の駅弁屋だからこそ、盛岡にも駅弁を作るという使命感に駆られていると熱く語ります。
加熱式となっているため、いつでもどこでも出来立てのような温かさで味わうことができるのが嬉しいポイント!
ホカホカのお弁当をいざ頬張ると、お肉に絡みつく甘タレが舌の上でとろりと溶け広がり、幸せいっぱい!
隣のじゃじゃ麺はよく混ぜてから、甘味噌だれの絡んだ麺をちゅるちゅると頂きます。
温かいからこそ香りが鼻孔をくすぐり、それが一層食欲を刺激します♪
おすすめのお弁当③:金格ハンバーグと牛あぶり焼き弁当
この『金格ハンバーグと牛あぶり焼き弁当』は、「格之進」を展開する「株式会社門崎」とコラボして作られた斎藤松月堂一押しのお弁当!
冷えても柔らかく美味しい金格ハンバーグと、斎藤松月堂が手作りで味を追求した牛筋煮込みが重なった豪華なのっけ弁当。
ハンバーグは冷えているとは思えないほどの柔らかさ!さくっと簡単に箸が入ってしまいます。それだけでなくいざ食べてみると、体温に溶け込むようにお肉の味がじゅわっと口いっぱいに広がっていくのに驚きです。
牛筋煮込みも甘いたれとお肉がほろほろと口の中で崩れていく感触が絶品で、ハンバーグと一緒に食べると濃厚なたれに様変わりします。
同時に味わうも良し、交互に食べるも良し!ついつい車窓の景色も忘れて夢中で頬張ってしまうこと間違いなしです。
一番人気というのも納得の美味しさです!
斎藤松月堂の歴史~後編~
というのも、当時の流行は「どこに行っても同じものが食べられること」。そこでどの地域でも幕の内弁当を出していたと斎藤社長は語ります。
そんな駅弁ですがどの地方も全く同じだったのかというとそうではありません。人々の楽しみはお弁当の外側にもありました。
鉄道で輸送力が格段に上がったとはいえ、今よりずっと移動範囲が狭くテレビもない時代。だからこそ景勝地などを描いた掛け紙が大人気だったのです!
斎藤松月堂の掛け紙も「厳美渓」や「猊鼻渓」「金色堂」などをモチーフに描かれ、多くの旅行者の手に取られました。
当時の掛け紙を今でも保管している方が、斎藤松月堂へ寄付してくださることがあるそうです。掛け紙という存在が、駅弁の大切な一部であるということが分かるエピソードですね。

斎藤松月堂はその3年前からなんと宿泊業も始めました。駅前に『ホテルサンルート一関』というホテルが建つと新幹線開業前から多くの旅行者で賑わったそう。先を見据えた商才には感嘆です。
JR一ノ関駅前には『ホテル松の薫一関』と名前を変えて昔と変わらない場所にホテルが建っています。ホテル内のレストラン「赤煉瓦」は建設当初から改装を加えながらも変わらない姿を保っており、あの東日本大震災でも崩れることはありませんでした。
モダンな雰囲気に少しだけタイムスリップした気分に浸れます。
「駅弁は駅と共にある」と斎藤社長は言います。
その言葉の示す通り、長い歴史の中、斎藤松月堂はJR一ノ関駅前で地域と鉄道の発展や変化を見届けてきました。
今や斎藤松月堂のみとなった岩手県内の駅弁屋さん。「一関」のみではなく「岩手」を背負って、これからも旅人の傍らにいてくれることでしょう。
まとめ
西口駅待合室の蕎麦屋さんはなんと斎藤松月堂が運営しているそう!
数十年の時を経て、蕎麦と弁当が並んでいるところを見ると、どこかじんとくるものがあります。
ちなみに今回紹介したお弁当はJR盛岡駅新幹線改札内でも販売中!混みあう時期は『盛岡じゃじゃ麺と牛めし弁当』がワゴンにずらりと並んでいたりしますよ♪
他にもJR仙台駅・JR大宮駅・JR上野駅・JR東京駅・JR新宿駅でも取り扱い中。
斎藤松月堂のお弁当は、全国の駅弁が集う『駅弁味の陣2024』にもエントリーしています!
是非この機会に食べて投票してみてくださいね。
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●所在地
岩手県一関市上大槻街2−37
●アクセス
一ノ関駅すぐ
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※画像はすべてイメージです。
好きな列車と宿を組み合わせておトクに旅行しよう!
