古都と漆のふるさとをつなぐ新しい日本の旅をご提案!【漆の魅力に迫る京都~岩手3日間の旅・体験レポート②】
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▼モニターツアー1日目の様子はこちら
プロローグ
今回のモニターツアーは、主に訪日旅行客をターゲットに実施しました。寺社仏閣などで多くの漆を使用する京都と、漆の生産地である岩手県二戸市・八幡平市を巡りながら、漆の文化的価値や素材としての完成度の高さを学んでもらい、訪日旅行者にとって馴染みの薄い東北エリアを含めた「新しい日本の旅」を提案しました。
2日目 二戸市・浄法寺歴史民俗資料館
漆の最大生産地「浄法寺」とは
国によって異なる漆の掻き方
殺し掻きは1年でウルシの木の樹液をすべて採取するというもので、6月下旬から9月下旬頃にかけて4日サイクルで鉋(かんな)を使って木に傷をつけます。これを「辺掻き」と呼びますが、鉋でつけられた傷は木の負担となるため、負担軽減を目的として一般的に傷の長さは徐々に長くし、前につけた傷に並行して新たな傷をつけるようにします。10月頃になると「裏目掻き」と呼ばれる水平でより長い傷をつけて漆を採取し、最後に「止掻き」という幹を一周する傷を11月頃につけてすべての漆を採取します。止掻きをすると樹液の流れが完全に遮断されるため、ウルシの木は枯れて伐採されます。約5か月かけて1本の木から採取される漆の量はわずか200g。以前は一人の漆掻き職人が年間400本近いウルシの木でこの作業をしていたと云われていますが、現在はウルシの木が減少しており、さらに漆掻きを行うための移動距離が長くなっていることなどから、現在は年間約200本ほどと云われています。
一方、中国などで行われる「養生掻き」は漆を1年ですべて採取することなく、同じ木から毎年採取するという方法です。幹にV字の傷をつけ、傷の下に設置した受け皿で漆を採取するこの方法は、2か月程度という短い期間で行われます。採取できる漆の量は少ないものの、幹につける傷が少なく木を弱らせないため、長年同じ木から漆を採取することができます。日本もかつては養生搔きが行われていたそうですが、時代の流れとともに殺し掻きが現在では主流になっています。
日本で漆が置かれている状況
このように漆掻き職人の減少が続く日本ですが、国内の文化財保存などを行う文化庁から2015年、「国宝や重要文化財の建造物を保存・修復する際は、原則として国産漆を100%使用すること」という通達が出され、国産漆に再び注目が集まりました。この通達によって国産漆の需要が高まり、国内の漆生産量は増加傾向に転じることとなった一方で、需要に対応できるだけの職人、さらにはウルシの木が不足していることが判明したため、職人の養成と約15年かかるとされるウルシの木の育成が急務となっています。二戸市では漆に特化した「漆の郷づくり推進課」を置くなど、漆に携わる職人の育成とウルシの木の確保に力を入れており、地域おこし協力隊として漆をつなぐ「うるしびと」の募集も行っています。
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●所在地
岩手県二戸市浄法寺町御山久保35
●アクセス
二戸駅からJRバス「浄法寺」行で「天台寺」バス停下車、徒歩10分
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※画像はすべてイメージです。
2日目 八幡平市・八幡平市博物館
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●所在地
岩手県八幡平市叺田230
●アクセス
JR花輪線 荒屋新町駅から徒歩約10分
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2日目 二戸市・南部美人
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●所在地
岩手県二戸市福岡字上町13
●アクセス
二戸駅から「岩谷橋」バス停までJRバスで約5分
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