JRフルーツパーク仙台あらはまだより「34品種・系統のリンゴを楽しめます!」

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「こうとく」「シナノゴールド」「ぐんま名月」「パインアップルふじ」「宮美ふじ」「はるか(無袋)」「はるか(有袋)」「きみと」「クラブアップル(Red bud crabapple)」

突然ですが、上の名前はすべてリンゴの名前です。聞いたことのあるリンゴもあれば、聞いたことのない名前もあるのではないでしょうか?写真は名前の順にリンゴを並べています。大きさも色も見かけも、何より味がすべて異なります。今回はそんなリンゴの魅力を存分にお伝えしていきますよ!
整列した9種のリンゴ

身近な果物?リンゴの奥深さをご紹介!

改めまして、こんにちは!「JRフルーツパーク仙台あらはまだより」です。今回はJRフルーツパーク仙台あらはま(以下フルパ)で楽しめるリンゴや、栽培担当者のこだわりなどを詳しくお話ししていきます。

リンゴといえば、「甘酸っぱい」味を想像する人が多いですよね。リンゴの生産者や研究者がリンゴの味を表す時には、「甘酸適和(かんさんてきわ)」という言葉を使います。一般には使われない業界用語に近い表現ですが、多くの人が「美味しい!」と思うリンゴは、絶妙な「甘味」と「酸味」のバランスから成り立っているので、リンゴの味をイメージするのにぴったりの言葉なのです。

好みの味で選ぶ!リンゴも多様性の時代に

日本の主力品種「ふじ」は、まさしくこの「甘酸適和」の代表と言えます。酸味の割合が大きい品種には「紅玉」や「グラニースミス」、やや酸味が強い品種には「ジョナゴールド」があります。逆に甘味の割合が多い品種では、「王林」や「シナノスイート」などが代表的です。


また、新しい酸味系のリンゴとして「サワールージュ」、甘酸適和系には「シナノゴールド」「はるか」「錦秋」、甘味系には「奥州ロマン」「ぐんま名月」「もりのかがやき」などがありますよ。リンゴの品種は自分の好みに応じて選べる時代が来たといえるでしょう!

美味しいリンゴの糖度は?

甘さは「糖度」として表され、糖度~という表示を目にする機会も多いですよね。12~13度台のリンゴはさっぱり系、14度以上になると甘さを強く感じます。

最近では糖度保証の果実が増えてきていますので、リンゴを購入するときは表示してある数字を参考に、美味しいリンゴを楽しんでくださいね。

フルパの代表的なリンゴたち

フルパでは、34の品種/系統を栽培しています。9月中旬頃から12月上旬まで、甘味・酸味・大きさ・食感・硬さ・香り、それぞれ特徴が異なる多様なリンゴに出会えますよ。

ここではその一部を紹介します!

「サワールージュ」

鮮やかな赤のサワールージュ

「ふじ」の自然交雑実生から生まれた宮城県のオリジナルリンゴ。宮城県では9月20日~10月10日頃が収穫期です。200~250gの中玉のリンゴですが、外観は鮮紅色で果点が目立たず、大変美しいリンゴです。


最大の特徴は、名前に「サワー」がついているとおり「紅玉」並みの酸味です。「ふじ」の2倍くらい、0.7%程度あります。この酸味を生かして、アップルパイや肉料理の付け合わせなどにとてもよく合います。もちろん、ガツンとした酸味を生で味わいたい方にもおすすめです!

「錦秋」

深みのある色合いの錦秋

2019年に登録されたばかりの新品種。農研機構で「千秋」×「4-4349(「つがる」×「いわかみ」の交配)から生まれた品種です。


果実は300~350g前後のとても着色の良いリンゴです。甘味と酸味のバランスが良く、噛み切ったときの食感も良く、濃厚な食味が特徴のリンゴです。宮城県では9月下旬から10月上旬に収穫されます。


食べ進めるとしみじみ「うまいなあ」と独り言を言いたくなるほど美味しいリンゴです。甘さだけでない、濃い味系をお求めのかたは是非!

「スリムレッド」

縦に引き延ばしたように見えますが、無加工の画像です!スリム!

群馬県農業技術センターで「ふじ」×「あかぎ」を交配し、1995年に登録された品種です。


「スリムレッド」は名前の通りスリムで、11月上~中旬に収穫します。鮮やかな赤に、明瞭に縞が入ります。150~250gの小ぶりなリンゴです。
皮が薄いため、丸かじりで食べるのがお勧め。果汁が多く、シャキシャキしていて、芯の近くまであっという間に食べてしまいます。正真正銘のポケットリンゴといえます。


仙台ではほとんど手に入らない希少価値満点のリンゴです。

「奥州ロマン」

美しい紅色に輝く奥州ロマン

岩手県江刺市の高野氏が「シナノゴールド」に「つがる」を交配して育成した品種です。


甘みが強くて、糖度は16度以上にもなります。シャキシャキした噛み応えがなんとも心地よいです。明るい紅色で美しく、貯蔵性もよい品種です。


酸味が苦手な方、シャキシャキした食感をお求めの方にお勧めです。

「秋茜」

濃い紅色の秋茜

清明(「ゴールデンデリシャス」×「ふじ」)の着色系枝変わりの品種です。全面が濃い紅色に着色します。


果実の大きさは300~350gで、やや細長い形をしていて腰高な印象のリンゴです。果肉は緻密で果汁が多く、甘みと酸味のバランスが良いのが特徴。果実表面にさびが少なく、美しい外観をもつ、さわやかなリンゴです。

宮城県内での栽培は少なく、市場出荷もほとんどされないレアな品種です。

「ぐんま名月」

黄色とほんのり赤く染まった配色が特徴的

群馬県が「あかぎ」に「ふじ」を交配育成した黄色系の品種。太陽が当たる面は、赤く染まります。宮城県では11月上旬に熟する晩生品種です。


果実の大きさは大きめで、400gを越す果実も多く収穫されます。酸味が少なく、甘味を強く感じる品種です。少し肉質が柔らかめですが、万人受けするさわやかな食味で近年人気上昇中のリンゴです。

「はるか」

完熟すると濃い黄色になるはるか

岩手大学名誉教授の横田先生が、「ゴールデンデリシャス」の自然交雑実生から選抜した黄色系の品種です。


「ふじ」よりも収穫時期が遅く、無袋果実は陽光面が赤く着色します。そのままだとあまり見た目がよくないので、袋を掛けて美しく仕上げるのが普通です。


宮城県では11月下旬に熟する晩生品種です。果実の大きさは300g以上になり、酸味は少なく、糖度が17度以上になります。果肉はしっかりして蜜も入り、大変美味しいリンゴです。糖度が高く、今までにないリンゴの食味なので近年人気上昇中のリンゴです。

フルパでは濃厚な食味の無袋「はるか」とさっぱりした食味で外観の優れる有袋「はるか」の両方を生産しています。

きみと

淡い黄色にほんのり紅色がさすきみと

弘前大学農学生命科学部附属藤崎農場で「ふじ」×「東光」を交配育成した品種です。


果重は350g前後で、果形は王林に似たような縦長になります。果皮は黄色ですが、フルパの黄色リンゴの中では最も遅く黄ばんできます。果肉は白色。糖度が15%以上になり、フルパ産は酸味も適度にあり、濃厚な食味が楽しめます。


フルパの収穫期は12月になってから。リンゴシーズン最後を飾るのにふさわしい味です。

「JRフルーツパーク仙台あらはま」でのリンゴ栽培の工夫

温度が高く、雨も多い日本では、枝が伸びやすく樹が大きくなりがちです。そのため、樹が若いときには光をたくさん取り込んで美味しい果実が採れるのですが、年数がたって来ると光の入らない部分が増え、果実は小さく味も落ちてきます。

こういった問題を解決されるためにフルパでは「ジョイント栽培」という、樹の高さを低くし沢山の光を取り入れる工夫をしてリンゴを育てています。光が入りやすい樹は美味しい果実が採れるとともに、低いところからまんべんなく果実がなるので小さなお子さんでも容易に摘み取り体験が可能ですよ。

ミツ入りリンゴのヒミツとは?

ミツがたっぷりのリンゴ
ところで、ミツ入りリンゴは好きですか?多くの日本人に好まれるミツ入りリンゴ。そのミツの正体は「ソルビトール」という糖アルコールです。「ソルビトール」は、日光を受けて光合成されたデンプンを葉から果実へ送り込むための物質で、あまり甘くありません。では、なぜミツ入りリンゴが甘く美味しいと感じるのでしょうか?

果実に運ばれた「ソルビトール」は酵素の働きで果糖、ショ糖などに変換されますが、秋深く気温が下がってくると酵素の働きが鈍くなり、細胞の外に変換されず余った「ソルビトール」が溢れてしまします。これがミツの正体です。糖を作る物質が有り余るくらい果実へ運ばれるので、ミツが溢れてきた果実は十分な甘さを持った果実といえます。しかも、ふくよかな香りが同時に広がるようになって、「美味しい」と感じるのです。

フルパが美味しいリンゴの見分け方をお手伝い!

リンゴと言えば「ふじ」ですが、交配されたのは1930年代、登録が1962年と歴史のある品種です。その長い期間、枝変わりといって突然変異が生じ、熟期、果実の表面色、ミツの入り方、枝の花芽の着き方など様々な系統が生まれました。今では、なんと100種類以上の系統名があります。

系統によってさまざまな違いがありますが、栽培する中で「袋をかけたか、かけないか(サンふじ)」「着果量の違い」「土壌の違い」当然その年の気候や土地柄などが加わって、同じ「ふじ」でも味の違いは相当あります。
美味しい果物を食べるには、できれば果物農家さんと知り合いになって、完熟した果物を手に入れるがベストだと思います。フルパが皆様にとってそんな果樹園になったら嬉しいです。
「JRフルーツパーク仙台あらはま」公式サイト
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