カフェのまち盛岡「喫茶店の日」特集⑤【ルビアン】

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ルビアンで人気のパープルとイエローのクリームソーダ

盛岡の喫茶店特集 第5回(全8回)

4月13日は、東京・上野に日本初の本格的な喫茶店「可否茶館」が開業したことから「喫茶店の日」とされているのはご存知でしょうか?
魅力的な喫茶店やカフェが多い街盛岡から、おすすめのお店をシリーズで紹介していきます。

盛岡の中心街を眺める老舗の喫茶店

春にはスミレが咲き、看板のコーヒーカップからは蒸気が出て楽しませてくれる。(中央通り側から撮影)
ルビアンは盛岡の中心街である映画館通りと中央通りが交差する場所に佇んでいます。
創業は1972年。昭和から3つの元号を跨ぎ、時代と共に変貌していく盛岡という街を、特等席で見続けてきた喫茶店でもあります。
映画館通りという名前にもなっているように、盛岡には市内の映画館が集中して立ち並ぶ地方都市では珍しい映画文化の栄えた街でもありました。
ルビアンと同じビルには映画館があり、ビルを建設する当初から「映画館」と「喫茶店」というコンセプトが決まっていたそうで、50年経った今現在でもその雰囲気は守られ続けています。
ルビアンの特徴は、入り口から始まります。中央通り側は官公庁が並び、映画館通り側は歓楽街が栄えていますが、そのどちら側からも入ることができます。
のんびり店内を眺めていると、中央通り側からはビジネスマン風の方が、映画館通りからは可愛らしく着飾った若い子が……そう、入り口によってお客さんの佇まいが変わるのも、ルビアンの面白さと魅力の一つなのです。

美味しさとSNS映え、どちらも叶う場所!

フルーツパフェを前にするといくつになっても心が躍る。
そんな老舗の喫茶店ルビアンでとりわけ人気のメニューはパフェとクリームソーダ。
パフェは「フルーツ」「ストロベリー」「チョコ」「バナナ」の4種類があり、どれもお客さまに親しまれているのだとか。注文してみるとその理由もわかります。
テーブルに運ばれた瞬間に心が躍ってしまう見た目の華やかさもさることながら、このパフェで特徴的なのは生クリーム。
スプーンを入れてフルーツと一緒に口に運ぶと、不思議な感覚が。もう一度、今度はアイスと一緒に食べてみて、あれっと気づきます。
つるんと溶ける感覚です。
このクリームは全てお店で作られているそう。
生クリームのクリーミーさとアイスの甘さが混ざった時の食感は、普通のパフェでは味わえないじわじわとくる驚きと、答え合わせのような美味しさが顔を綻ばせます。
パープルのクリームソーダは珍しく、まるでアメジストのように輝く。

可愛い見た目だけじゃないのは、このクリームソーダも同じです。
喫茶店といえば、小さい頃にパフェ派とクリームソーダ派で分かれたことがある経験をお持ちの方もいませんか?
ここルビアンには、生粋のパフェ派でも揺らいでしまうクリームソーダがあるのです。
間違いなくインスタ映えする「グリーン」「ブルー」「レッド」「オレンジ」「パープル」の5色のクリームソーダ。
氷に乗せるのではなく浮かぶようなアイスと、視覚の美味しさを引き立てるみずみずしい泡、そして光り輝くチェリー。1色だけでも美しい光景ですが、2色、3色と並べると壮観です。
このクリームソーダは創業時に東京で修業をしたものを受け継いでおり、昔から変わらぬ味を楽しめます。
ところで、写真のパープルのクリームソーダは何味かわかりますか?
じっくり味わったあとに、是非お店で聞いてみてくださいね。

コーヒーの味わいの秘密

シュガーポットの可愛らしさが美味しさを引き立てる。
甘いものを食べると、飲みたくなってしまうのがコーヒー。
勿論コーヒー一杯で、香りとともに静謐な時間を味わうのも大人の贅沢というものです。
ルビアンのコーヒーはサイフォン式。サイフォンで淹れたコーヒーは、時間が経っても深い味わいが残り続け、ドリップで淹れるコーヒーとはまた違う香りと味が広がります。
サイフォンは上の筒状の部分を「ロート」、下の球状の部分を「フラスコ」と呼び、アルコールランプでフラスコのお湯を熱した時に発生する気圧の性質を利用して、コーヒーを抽出する方法のことを呼びます。
テレビドラマに影響を受けて、わざわざサイフォンを見に来る方もいたそう。風味だけでなく、コーヒーを淹れるまでの過程が演出的な様子からも、ファンの多い淹れ方です。
水出しコーヒーの器具。ミネラルウォーターを使用して淹れている。

アイスコーヒーといえば夏のイメージですが、ルビアンのアイスコーヒーは通年味わって欲しい一品です。
ダッチ式と呼ばれる水出しコーヒーは、水によってじっくりと時間をかけて抽出する方法です。
ルビアンでも数時間かけて一滴ずつ淹れていくといいます。そのためまろやかで舌触りがいいアイスコーヒーができるのです。
長時間かかったとしても、作り置きはしないのがポリシー。その日その日の風味を楽しんでみてくださいね。

使用しているフラスコを見せてもらった。景色を反射して宝石のよう。
カウンターの横には、一時ミステリー小説で話題になった、フランスの外交官タレーランの言葉が、ひっそりと飾られています。
ルビアンのコーヒーから感じることができるのは、古いのに新しく、それでいて信念を感じるということ。
お店にお話をお伺いした際、メニューの一つ一つを時間をかけて丁寧に作ることを大事にしているのだとお聞きしました。
お洒落な見た目、映えるメニューが流行る中で、作る時間と手間を惜しまないことは、真心でもあります。
私たちの贅沢な時間は、このコーヒーの一滴一滴から感じられる、見えない真心によって支えられているのかもしれません。

お店の雰囲気も味わおう

店内の置物が可愛らしい。
最後にもう一つ、楽しさの仕掛けをご紹介します。
ルビアンの店舗内外には様々な美術品が飾られています。
店の前にはカッパの置物があり、何故置かれているのか聞かれることもあるのだとか。交差点の長い信号待ちが楽しくなるようにという思いから設置したそうで、たまに写真を撮って行かれる方もいるそうです。カッパは中央通り側にも映画館通り側にも立っていて、行き交う人を優しく見守っています。
店内の絵画なども同じ。それらは美しい鑑賞物として飾られているだけではなく、訪れる人がどんな方であっても、楽しんでもらえる空間を作りたいという思いが具現化したものでもあるのです。
さて、ルビアンのドアを開けたら、あなたは何を楽しみますか?
イタリア製の照明とともに街並みを眺め、余韻を噛みしめる。
ルビアン
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