私は当時JR東日本本社の営業部というところで、「のってたのしい列車」をつくるプロジェクトに携わりました。部の中で、グループを横断するプロジェクトとして5人で組んだ中のリーダーでした。TOHOKU EMOTIONやPOKÉMON with YOU トレイン、SL銀河、後はTRAIN SUITE 四季島などに関わる仕事をしていました。全体のコンセプト作りや需要予測、客室等のレイアウトや運行計画、また車内オペレーションに関する検討・調整の他、販売方法、販売促進策の検討等、TOHOKU EMOTIONに関する様々なことをしていましたね。
私が2012年6月にプロジェクトに参加した頃には、既にいくつかののってたのしい列車の検討がスタートしていました。その中で最初に走り出したのはPOKÉMON with YOUトレインです。これは2012年3月頃、JR四国のアンパンマントロッコをお借りして被災エリアで走らせたところ、すごく子供たちに好評だったので、何かJR東日本の車両で出来ることがないかという話が出ていました。 JR東日本はもともとポケモンのスタンプラリーなど色々とやっていたこともあり、ポケモンとタイアップしてやろうという話になりました。 続いて検討が進んでいたのが、今のTOHOKU EMOTIONです。海の見える路線でレストランのように食事を食べられる列車をやろうと。そういうざっくりとしたコンセプトができていて、いろいろと始まっていたという感じです。
工藤さん
アンパンマン列車は沿線の子供たちを招待した試乗会を実施し、うちの宣伝チームが仕切ってやりました。アンパンマンは子供たちにかなり人気があり、喜んでいただいたという実感があります。東日本大震災で沈んでいる気持ちをワクワクさせるには、子供たちが元気にならないと駄目なのかなという気がしていてました。 POKÉMON with YOUトレインは2012年の12月に子供たちを招待したことから始まりました。一ノ関駅から気仙沼駅までの間で停車する駅にポケモンのオブジェや、記念スタンプを置いたりと様々な取り組みをしました。 我々も地元の人たちも、来たお客さまに市内を巡っていただきたいという気持ちもありました。当時は気仙沼もまだガレキがたくさん残っている状態でしたが、各地域の復興商店街を巡っていただきたく、5,6カ所ほど指定してポケモンのスタンプラリーもやりました。最後に駅に戻って観光協会の案内所にスタンプ台紙を出すと景品がもらえるというものです。今も続いているようで、もう間もなく今年で丸10年になりますね。
POKÉMON with YOUトレインやTOHOKU EMOTION、SL銀河と色々携わらせてもらい、様々な方と出会いましたし、諦めずに何でも挑戦しやり遂げることで、かなり自分にとっての財産になりました。今自分が現場長として若手を育てる上ですごいいい経験をさせてもらったことを若手に伝えていきたいと思っています。 SL銀河は釜石まで入れたわけですけども、以前釜石の駅長をやらせてもらったので、自分が入れた列車を現場で迎えるというのがこんなに感動するものなのかな、という風に思いましたね。だからSL銀河は来年でなくなるようですが、何かちょっとやっぱり寂しいですよね。 車窓を見ながらの食事は格別!