湯守に聞く「地・温泉」の魅力 第14弾【松之山温泉 ひなの宿ちとせ】

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「THE ONSEN」の魅力に迫る!

旅行の楽しみといえば、その土地ならではのグルメや季節ごとに表情を変える絶景、あとはやっぱり「温泉」ですよね!東日本各地に「地・温泉」と呼ばれる、その地に根差し地元の人に昔から愛されてきたお湯があることはご存知でしょうか?かつては湯治場として、そして現在も人々を癒す温泉宿の数々。身も心も温まる「地・温泉」の魅力をインタビュー形式でご紹介します!

「湯守」とは…

「お湯を守る」と書いて「湯守(ゆもり)」。言うなれば、温泉の管理人です。お湯の量や温度などを管理する役割を担っています。本企画で紹介する「地・温泉」の湯守たちが誇る、各地に根付いた伝統的なお湯は長い歴史の中で彼らによって守られているのです。

日本三大薬湯と里山文化を体感する「ひなの宿ちとせ」

連載企画「湯守に聞く「地・温泉」の魅力」第14弾としてご紹介するのは新潟県の松之山温泉 「ひなの宿ちとせ」。湯守の柳さんにお話をお伺いしました。
畳敷きの館内はより一層のくつろぎを感じます
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日本の原風景が残る里山「松之山郷」の温泉

ーひなの宿ちとせがある松之山温泉とは、どのような場所ですか?

湯守 柳さん
「新潟県十日町市にある松之山郷(マツノヤマゴウ)は日本の原風景と呼ばれる美しい「棚田」や「ブナ林」など、自然と共存する人々の営みが今も残る「里山」です。その山並みのどん底に「コンコン」と湧き続けるのが1200万年前の化石海と云われる松之山温泉です。」
紅葉時期の温泉街の様子

日本三大薬湯の1つ、松之山温泉とは?

ー松之山温泉のお湯は日本三大薬湯のひとつとのことですが、どのような特徴があるのでしょうか?また、ひなの宿ちとせならではのポイントもあれば教えてください。

湯守 柳さん
「新潟県十日町市に位置し、豊かな自然に囲まれた松之山温泉。有馬温泉、草津温泉と並ぶ「日本三大薬湯」の一つにも数えられます。

源泉は、地層の隙間などに閉じ込められた1200万年前の海水が噴き出す「化石海水」。温泉と認められる基準値の15倍もの温泉成分が含まれており、その濃さゆえに「薬湯」と呼ばれているのです。

この濃厚な温泉に加えて、地元食材をふんだんに使った郷土料理が評判なのは、「ひなの宿 ちとせ」です。」
露天風呂「月見の湯」

ひなの宿ちとせの温泉の魅力

ー露天風呂と内湯、貸切風呂とバラエティーに富んだ浴場が魅力的ですが、それぞれのおすすめや見どころを教えてください。

月見の湯(露天風呂)男女時間交代制

月見の湯 冬の様子
湯守 柳さん
「旅情溢れる佇まいの露天風呂「月見の湯」では、効能豊かな源泉掛け流しの湯とともに四季の眺めと空気を感じてください。湯舟はあつ湯とぬる湯に仕切られております。ご利用時間は、女湯 6:30〜12:00 → 男湯 13:00〜18:30 →女湯 19:00〜23:00となっています。」

ほんやらの内湯(内湯・露天風呂)男女別

ほんやらの湯 露天風呂
湯守 柳さん
「「露天風呂」と「内湯」を備えた男女別の大浴場です。露天風呂は「源泉掛け流し」、内湯は「新湯注入循環方式」となっております。ご利用時間は6:00〜24:00です。」

貸切風呂「山の湯」「里の湯」

山の湯
湯守 柳さん
「プライベートに松之山温泉の「源泉掛け流しの湯」を楽しんでいただける、二つの「貸切風呂」がございます。予約制・45分 1,100円(税込)、また23:00〜翌7:30までは無料でご利用いただけます。」

湯上りのおもてなしも嬉しいポイント

「ほんやらの湯」の前にある「湯上り処」では、冷たいアイスキャンデーを自由にいただくことができます。また、地酒や松之山温泉名物の一昼夜高温の源泉で湯治した「湯治玉子」が限定30個で用意されているので、宿泊する際はぜひ確認してみてくださいね。※16:00~の提供です。

松之山の食文化を存分に体感できる「里山会席」

オリジナル前菜
ー松之山に残った食文化や地元食材を生かしたお料理がいただけるとのことですが、どのような食文化・食材なのでしょうか?また、おすすめのお料理を教えてください。

湯守 柳さん
「旬の酒菜のなかに松之山伝統の味を織りまぜた里山会席として、これまでの旅館料理にとらわれない手づくり膳を目指しています。ちとせの料理は、山菜やきのこなど、松之山の山の恵みをふんだんに使った里山会席。会席のところどころに雪国の保存食や伝統製法を生かした郷土料理が登場します。

なかでも温泉熱を利用して調理した「湯治豚」、鯉が苦手な方でも食べられると評判の「鯉こく」、松之山に昔から伝わる「山海煮」は、ちとせに来たらぜひ食べたい伝統の味です。これらは、旅行者の「その地のものを、その地の食べ方で楽しみたい」という願いに直球で応えていきたい、という思いで提供しています。」
里山会席

松之山温泉名物『棚田鍋』

湯守 柳さん
「ところで、平場のない松之山は、美しい棚田の里としても有名で、千載一遇の景色を求め、全国から多数のカメラマンが訪れます。 緑の絨毯を敷いたような夏の棚田もきれいですが、冬の棚田の美しさは格別。初雪の日、ふんわりと積もった雪をポトン、ポトンと抱いた棚田の表情はやさしく、とても風情があります。
棚田 秋の様子
この風景を鍋に見立てたのが、夕食の中盤に登場する松之山温泉名物『棚田鍋』。

このお鍋はコシヒカリの重湯をベースにした鍋で、重湯のスープの中に松之山産の野菜をたっぷりと入れ、その上に、雪に見立てた大根おろしをのせていただきます。コシヒカリはもちろん松之山の棚田米を使います。『棚田鍋』は松之山温泉の名物として、寒い季節になれば、温泉街のほとんどの旅館で食べることができますが、スープにコシヒカリの重湯を使うこと以外は、旅館それぞれにオ リジナルのレシピがあります。

ちとせオリジナルの棚田鍋とは?

ひなの宿ちとせの棚田鍋
ちなみにちとせオリジナルの棚田鍋は、かつおだしを加えたスープに、白菜、にんじん、 れんこん、しめじなどの冬野菜と妻有ポーク、そこにコシヒカリのおこげを入れ、最後に大根おろしを入れていただきます。 このコシヒカリのおこげが味のポイント。スープはとろみのあるおとなしい味わいなので、コシヒカリのおこげが入ると味に締まりが出て、格段に美味しくなります。

「塩の子」とコシヒカリの組み合わせは格別!

棚田鍋にあう薬味として「塩の子」をご用意。「塩の子」とはかぐら南蛮を細かく刻み、麹と塩を混ぜ合わせて1年間熟成させたオリジナルの香辛料です。(かぐら南蛮とは、新潟県中越地方で作られている夏の伝統野菜で、ピーマンのような形・ピリッとした辛みが特徴の野菜のこと。)ピリッと辛いですが、コシヒカリのスープの甘味と程よくマッチします。松之山地域では家庭で作ることも多く、代々続く「我が家の味」がある家庭も。

さて、この「塩の子」ですが、炊きたてのコシヒカリにのせて食べると、これがまた美味しいのです。棚田鍋のあとには、ちとせの元料理長が松之山の棚田で育てたコシヒカリが登場しますので、ぜひお試しください。」
食事処「松之山郷」

温泉街に暮らすように、滞在する。「湯治BAR」

ーお宿の向かいに湯治BARという施設があるそうですが、どのような施設で、どのように楽しむことができますか?

湯守 柳さん
「日本三大薬湯の一つ松之山温泉。昔から湯治場として栄えてきた温泉街に、新しい過ごし方を提案する滞在拠点ができました。テーマは、「温泉街に暮らすように、滞在する」。観光案内所、カフェ&バー、ワークスペース、そして長期滞在が可能な宿泊施設など、旅人の多様なニーズに応えます。」
宿の向かいにある「湯治BAR」
「正面には松之山温泉のまち並み、奥のソファスペースからは湯本川が流れる自然をながめながら、ゆっくりと流れる時間をご堪能ください。湯治BARの1階は観光案内所の「里山ビジターセンター」とカフェ&バーもある多目的スペース。「里山ビジターセンター」では、スタッフに滞在中の松之山温泉街での過ごし方等を気軽に相談できます。昼はカフェやワーキングスペースとして、夜はバーとして1日中活用できる松之山温泉街の基点となりました。」
「湯治BAR」「里山ビジターセンター」

豪雪地松之山で感じる「森の鼓動」

ー秋・冬に訪れるお客さまにお伝えしたい魅力やおすすめの過ごし方を教えてください。

湯守 柳さん
「晩秋の美人林の黄色の落ち葉の上を歩くのも素晴らしいけれど、冬になればここは、豪雪地松之山。3メートルの雪の上から静かな森を探検すると生き物たちの鼓動を感じることができます。スノーシューを履いて白銀の美人林を歩きませんか?松之山在住の里山の達人たちが、冬の松之山の魅力と昔ながらの冬の暮らしを語りながら、ご案内します。」
玄関も冬になると沢山の雪で覆われる

おすすめの体験プラン 雪の華を観に行こう!~美人林スノーシューと囲炉裏体験~

松之山の住人である案内人がスノーシューの履き方から美人林散策・地域の暮らしについてご案内。
ひなの宿ちとせHPへ

湯守のこだわりとは?

雪の中で光る松之山温泉街
ー最後に、湯守としてのこだわりや思い、お客さまへのメッセージをお願いします。

湯守 柳さん
「晩秋、雪が降るころになると雪国の人々は少し憂鬱な表情になります。それはこれから雪との格闘が始まるからです。何とも言えない寂しくも切ない気持ちを毎年経験します。しかし、雪解けと共に山は生き返るように笑い出し、緑の爆発がそこらじゅうで繰り広げられます。するとどうでしょう、冬の内、押さえつけられていた人々の顔と感情がほころぶと同時に緑の山に通い始めるのです。山の恵みの山菜でデトックスする本能が動きはじめるのです。特に山の達人たちは雪国の保存食である「ぜんまい」を競って採り、干しぜんまいを作ります。

皮肉な話ですが、雪が消えたら早々に始まるのが次の冬に備える保存の準備なのです。それが毎年繰り返される雪国の持続循環性を旅の中でお伝え出来たらうれしいです。」

里山暮らしの文化・知恵をお届けする「ひなの宿ちとせ」へ

いかがでしたでしょうか?今回は新潟県の「松之山温泉 ひなの宿ちとせ」について、詳しくお話をお伺いしました。温泉の魅力はもちろんのこと、松之山郷で守られてきた様々な文化・知恵を体験できる「ひなの宿ちとせ」。冬にこそ、訪れてみてもらいたいお宿です。ぜひ足を運んでみてください!
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◆次回予告◆

連載、湯守に聞く「地・温泉」の魅力 では、今後も東日本の「地・温泉」の魅力を皆さまにお届けします!次回以降もお楽しみに♪
「地・温泉」について、詳しく知りたい方は下記のリンクボタンよりご確認ください。
JR東日本HP「地・温泉」
取材協力:ひなの宿ちとせ
※画像はすべてイメージです。

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