八戸と久慈を結ぶレストラン鉄道【TOHOKU EMOTION】で東北の魅力を感じる旅

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三陸の海が広がる八戸線(八戸駅~久慈駅間)を走る「TOHOKU EMOTION」はJR東日本の観光列車「のってたのしい列車」の1つ。車内は太平洋を臨む大きな車窓に、東北の伝統工芸品をモチーフにした装飾、調理の様子を見ることができるライブキッチンなど東北を感じながら楽しめる仕掛けがたくさん!

今回はTOHOKU EMOTIONの乗車レポートから教えてもらわないと気づけない!見逃したくないポイント、提供されるお料理、おすすめのモデルコースなどをご紹介。三陸の海を眺め、東北の食材を使ったメニューを楽しみながら新しい東北を発見・体験してみませんか?
車内から見える三陸の景色

「TOHOKU EMOTION」とは

TOHOKU EMOTIONが走る八戸線は2011年3月の東日本大震災で発生した津波により大きな被害を受けました。そこから約2年半の時を経て、2013年10月に震災からの復興と地域活性化のため誕生しました。TOHOKU EMOTIONにはデザイン、食、アート、景色など様々な魅力が詰まっています。特に「食」については目の前で調理されるライブキッチンや東北の食材を中心としたお料理など、列車全体がレストラン空間となる「東北レストラン鉄道」です。三陸の景色を眺めながら、東北の食材を使ったお料理を楽しむことができます。
「TOHOKU EMOTION」ロゴ
八戸駅から出発する往路では、人気シェフの感性と地元食材の融合が織りなすコース料理、復路はホテルメトロポリタン盛岡がお届けするTOHOKU EMOTIONオリジナルデザートを楽しむことができます。往路ではランチ、復路では食後のデザートと往復で乗車するのがオススメ!
「TOHOKU EMOTION」デザートビュッフェの様子(復路)

八戸駅から出発

TOHOKU EMOTIONの車内では多くの場面で東北の伝統工芸品がモチーフになっています。八戸駅構内でも、八戸の伝統工芸品を見ることができるため、様々な文化に触れてみてはいかがでしょうか?
改札前に展示されている「八幡駒(やわたうま)」
八戸えんぶりの「えんぶり烏帽子(えんぶりえぼし)」

八戸駅1番線に「TOHOKU EMOTION」

この日のTOHOKU EMOTIONは11:06に八戸駅を出発します。東京方面からのおすすめアクセスは7:32東京駅発/10:24八戸駅着のはやぶさ。TOHOKU EMOTIONは10:30過ぎには、1番線に入線していました。

「デザイン、食、アート」をコンセプトに、列車自体をキャンパスに見立てているそう。
「TOHOKU EMOTION」外観
列車をキャンパスに見立てたデザイン
TOHOKU EMOTIONは2023年に10周年を迎えました。それを記念して2024年3月31日まで10周年ヘッドマークをつけて運行しています。このヘッドマークは10周年を通じて繋がったお客さまとの輪をイメージし、春夏秋冬を感じられる配色です。乗車の前にはTOHOKU EMOTION限定パネルなどで記念撮影をすることもできます。ぜひ旅の思い出を写真で残してくださいね。
10周年ヘッドマーク
「TOHOKU EMOTION」限定パネル
入口ではサービスクルーの方がお出迎えしてくれました。制服は黒いベストとスラックスでシックな印象。車内ではこの制服に白いエプロンを掛けてサーブしています。ネクタイを着用しているサービスクルーと、蝶ネクタイを着用しているサービスクルーがいますよ。まるでフレンチレストランのギャルソンのようですね。

サービスクルーの制服

「TOHOKU EMOTION」に乗車

TOHOKU EMOTIONに乗り込みます!入口は1つだけでドアの前にレッドカーペットが敷かれていました。ドアの上にはランタンが吊るされていて、まるでレストランの入口のよう!

レッドカーペットで出迎え!
入口のランタン
車内に乗り込んだら、入口付近にある「景観のおしながき」を忘れずにゲットしてください。こちらは日頃八戸線に乗務をしている八戸運輸区のみなさんが沿線の見どころをまとめてくださったパンフレットです。これから通る八戸線の見どころを、路線図上で紹介しています。これを見ればおすすめの景観を見逃さずに楽しめますね。
景観のおしながき
中身は見どころMAP

車内紹介

列車内は、ライブキッチンを中心とした全席レストラン空間。車内には東北各地の伝統工芸をモチーフにしたインテリア、車内アートなどが楽しめる3両編成です。

1号車は7室のコンパートメント個室席で、壁面ファブリックは「刺子織(さしこおり)」という福島の伝統工芸品をモチーフとしています。刺子織とは平織の上に色の違う縦糸と横糸を浮き出して織った織物のこと。糸が紡ぎだす独特の模様は、今も東北の各地域で受け継がれています。落ち着いた色合いの人工大理石製のテーブルに4人掛けのシートはシックな色使いの革張りとなっています。

1号車(コンパートメント個室車両)
2号車は目の前で調理されるライブキッチン。窓ガラスは青森県の「こぎん刺し(こぎんざし)」という刺し子で作られる模様がモチーフになっています。カウンター壁面は岩手が世界に誇る、鉄鋳物の伝統「南部鉄(なんぶてつ)」の質感を再現。車内の壁面には平安時代の十二単を身にまとった姫を思わせる柄が特徴の青森「南部姫毬(なんぶひめまり)」がモチーフにされています。
2号車(ライブキッチンスペース車両)
「南部鉄」の質感が再現されたカウンター
3号車はオープンダイニングスペースとなっています。床は2号車同様の「こぎん刺し」がモチーフ。照明は岩手が日本一の産地と言われている「琥珀」で、什器の仕上げ材は純黒色が美しい宮城県の「雄勝硯(おがつすずり)」がモチーフになっています。
3号車(オープンダイニング車両)
今回私たちは1号車に乗車。すでに席にはメニューやカトラリーが置かれていました。ランチョンマットに書かれたイラストは東北要素満載!先ほど八戸駅で見た八幡駒やえんぶり烏帽子が描かれています。こちらは福島県出身の長谷部直美さんとパートナーのアキレス・グラマンガーさんが担当されたそう。
メニューとランチョンマット
東北要素満載のかわいいイラスト

まるで「食のサーカス」

車内で楽しめるお料理は、人気シェフによる東北の食材を使ったオリジナルメニュー!2号車のライブキッチンからサービスクルーの方が運んでくれます。「食のサーカス」という言葉をヒントに、年2回監修シェフが替わり、かつ3か月ごとにメニューが新しくなるため、なんとメニューの内容は年4回替わることになります。何度乗車しても楽しめそうです!

2023年4月~2023年9月の往路のメニューを監修しているのは秋田市の大町にある「Sous-sus(スシュ)」のシェフ澁谷 瑛子さん。「Sous-sus」はソースと香りを大事に、季節感を感じられる料理を提供されています。
7月時の往路メニュー

スパークリングアップルで乾杯

乗車すると、ウェルカムドリンクのスパークリングアップルが運ばれてきました。まずは乾杯!耳をすましてみると軽快なジャズが流れていました!おしゃれなレストランでお料理を待っている気分です。
ウェルカムドリンクで乾杯

前菜が登場!

出発して10分ほど経ったころ、木箱に入った前菜が運ばれてきました。

今回の前菜の内容は、1番大きなお皿に入っているフランス発祥の揚げ物「ブランダードのクロケット」、フランスではポピュラーなうさぎのテリーヌ「テリーヌ ラパン」、さっぱりとして夏にぴったりの「いかのマリネ」、枝豆の旨味を感じる「枝豆の冷製スープ」です。
木箱に入った前菜
TOHOKU EMOTIONはなんとドリンクも飲み放題。東北産のアルコールもその中に含まれていて、ほろ酔いで列車に揺られ、食事に舌鼓を打つという、贅沢な旅が味わえます!

岩手県の赤ワイン「早池峰神楽(はやちねかぐら)」山形県の赤・白ワイン「高畠クラシック」など、メニューにどこの飲み物なのか説明が書いてあるのも嬉しいですね。
ドリンクメニューと白ワイン「紫波リースリングリオン」
まずは「アオモリシードル」と「青森りんごジュース」を注文。さっぱりとした中にりんごの酸味をしっかりと感じられるシードルは、暑い日や濃い味のお料理とピッタリ。青森りんごジュースは見たことのないりんごジュースの色に驚きます!飲んでみると、濃厚な果実の甘さが押し寄せます。
アオモリシードル
青森りんごジュース

三陸のビュースポット

前菜を味わっていると、車内放送にて蕪島(かぶしま)が近づいていることが知らされます。八戸線の真骨頂ともいえる海と空が広がる景観の始まりです!

蕪島は島の頂上に神社がある人気の観光スポット。ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されていて、繁殖の様子を間近で観察することができる国内唯一の場所です。
ウミネコの楽園「蕪島」
蕪島を過ぎてからは、緑豊かな山林と広大な海岸線を臨める海の景色が交互に続きます。鮫駅を過ぎたら見えるのは葦毛崎展望台。この区間では景色を堪能できるよう列車が停車します。ゆっくり景観を楽しむことができますね。
絶景のフォトスポット葦毛崎展望台
車窓から楽しめる景色

次々とお料理が!

前菜の次に登場するのは「鯛のヴィエノワーズ」。きつね色のサクっとした衣の下には、ほくほくとした鯛と、シャンパンソース。柔らかい白身とサクサクの衣、グリーンピースのピューレの相性がばっちり。甘塩っぱい風味が口いっぱいに広がります。

鯛のヴィエノワーズ
魚料理のあとには、日本一のブナ蓄積量を誇る青森で丁寧に手作りされているブナコの小皿にパンが乗ってきました。こちらはベリーを使ったパン!表面生地を割り開くと、もっちりとした紫色の生地。食べてみるとしっかりとベリーの酸味を感じることができました。
ベリーのパン
ブナコの小皿

メインディッシュを見にライブキッチンへ!

TOHOKU EMOTIONの見どころはお料理だけではありません。ライブキッチンスペースを見に行きましょう!お料理の仕上げをしている様子を見学することができます。
盛り付けられていくメインディッシュ
ライブキッチンを眺めていると、席に置かれていたランチョンマットと同じテイストのイラストを見つけました!このイラストを使った大きな地図が、ライブキッチン横に飾られています。八戸線全体図と、「FOOD」、「TOURISM」のテーマに合わせた3種類です。
八戸線周辺の観光地図

メインディッシュの登場!

メインディッシュの登場です!今回は秋田県が誇る「火内鶏(ぴるないどり)のコンフィ」でした。「比内鶏(ひないどり)」という地鶏の名前を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?火内鶏は比内地鶏のオリジナルブランドで、これまで以上に高たんぱく・低カロリーなんだそう。コンフィとは「食材を低温の油でじっくりと煮た料理」のこと。甘塩っぱいソースが添えられ、もたつかずさっぱりとした味わいです。

ここでも東北の伝統工芸品が使われていました。大皿は内側から外側に向かって色合いが変わる岩手県小久慈焼(こくじやき)です。
火内鶏のコンフィ

人と人をつなぐ感動の「洋野エモーション」

TOHOKU EMOTIONで見逃せない感動的なスポット。それは「洋野(ひろの)エモーション」です。宿戸(しゅくのへ)駅から有家(うげ)駅の近くで、TOHOKU EMOTIONの汽笛が鳴ります。数メートルに近づくと目に飛び込んでくるのは大漁旗を振る地元の方々。洋野町の有志の方たちが集い、たった数秒で通り過ぎていくTOHOKU EMOTIONに満面の笑顔で旗を振り続けてくれます。
洋野エモーションの熱烈な歓迎

▼洋野エモーションとJR東日本のつながりがわかるTOHOKU EMOTION立ち上げ時についての記事はこちら

玉手箱のようなデザート

洋野エモーションに感動していると、高級感の漂う箱が運ばれてきました。デザートのプティ・フールです。その美しい箱は会津塗(あいづぬり)。桐蓋の開けやすさ、仕上げや木目の美しさに伝統の重みを感じます。
玉手箱のようなプティ・フール
写真左から甘味と苦みのバランスがよい「カカオのチュイル」、しっとりとした「チーズケーキ」、レモン風味の「チュロス」です。チュイルとはフランスの屋根瓦のタイルのことで、湾曲した瓦の形をしているお菓子。カカオの苦みと砂糖と甘さ、二つの味が混ざり合います。チーズケーキは甘すぎず素材を生かしたさっぱりとした舌ざわり。チュロスには、レモン風味の砂糖がまぶしてあり、さっぱりとしています。
三種類のデザート

久慈駅に到着

八戸駅から約2時間の列車旅を終え、13:02久慈駅に降り立つとこちらでも大漁旗を振ってお出迎えをしてくれました。EMOTIONの意味は「感情」。まさに乗客自身が嬉しさや感動や驚きを、その土地に触れながら何度も経験することができる列車でした。
久慈駅の弾幕
久慈駅の待合室には中央に円卓があります。そこには色とりどりの可愛らしい小久慈焼の展示が!先ほどTOHOKU EMOTION車内でもメインディッシュで使われていた小久慈焼ですね。小久慈焼はここ久慈市の伝統工芸品で、釉薬を使うことで柔らかな濃淡が表現されています。地元の方々のお家には必ず小久慈焼があるといわれるほど身近な工芸品なんだとか。
小久慈焼が飾られている円卓

「道の駅 くじ」までお散歩

久慈駅から道の駅くじまでは徒歩約7分。ここには9月に開催される「久慈秋祭り」の山車などが展示されています。久慈秋祭りは大神宮(だいじんぐう)、秋葉(あきば)神社、巽山(たつみやま)神社の三社に奉納する祭礼で、県北最大とも言われる大祭。そこで使われる山車の大きさたるや!道の駅の吹き抜けに聳え立つ迫力には度肝を抜かれます。また久慈の特産・琥珀の展示やお土産売り場も広く見ごたえがありました。

今回は14:18久慈駅発のTOHOKU EMOTIONに乗車するので、復路出発までの約1時間、道の駅 くじで過ごしました。
加藤清正の絢爛豪華な山車
「久慈秋祭り」の様子

帰りはデザートブッフェ

14:18久慈駅発のTOHOKU EMOTIONに乗車して八戸駅に帰ります!

久慈駅発のTOHOKU EMOTIONはデザートビュッフェです。2023年4月~9月の復路はデザートのアソートプレート、6種類のデザートブッフェ、生ハムやナッツなどのオードブルを楽しむことができます。デザートとオードブルはブッフェスタイルのため、お好きなものを心ゆくまで堪能できます。
デザートのアソートプレート
デザートブッフェとオードブル

八戸駅到着!

列車旅お疲れさまでした!終点は八戸駅ですが復路は途中下車も可能です。デザートを楽しんだあとに、本八戸駅で下車をして観光を楽しむのもいいですね。本八戸には26店舗の屋台が集まる「みろく横丁」という屋台村があるので、少し歩いたあとに飲みなおすのもオススメです。
みろく横丁

八戸駅前の「ユートリー」で八戸三社大祭

八戸駅に隣接している「ユートリー」1階の八戸三社大祭魅力発信コーナーでは、「西遊記 孫悟空奮戦の場」をテーマにした八戸三社大祭の山車や、「十二支」をテーマにしたミニ山車などが展示されています。
また、伝統工芸品の手作り体験コーナーでは、南部菱刺しのコースターや、南部裂織の花びん敷をつくることができますよ!おみやげショップでは、約2,000点もの青森県内のさまざまな特産品が取り揃えられています。
迫力満点の展示コーナー

TOHOKU EMOTIONであなたのEMOTIONを動かす

TOHOKU EMOTIONの乗車記はいかがだったでしょうか?今回は車内の様子や、豆知識、発着駅周辺でもTOHOKU EMOTIONを思い出すスポットをご紹介しました。TOHOKU EMOTIONに乗って、食や伝統工芸、地元の方々の熱い歓迎、様々な目線で東北の魅力を感じてみてくださいね。

「TOHOKU EMOTION」の予約は「のってたのしい列車予約サイト」へ!
のってたのしい列車予約サイト
出入口に吊るされたランタン

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