江戸の息吹と盆栽の美 埼玉【川口宿】を巡る歴史探訪をしませんか?

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川口盆栽(はちす葉 BONSAI-Art 撮影 )
江戸時代、徳川家康公の霊廟が日光に移され、将軍たちが日光参拝を行う際に利用した日光御成道。その脇街道として整備された道は、歴史に名を刻む多くの人物が行き交った道として知られています。今回は、その御成道の起点である「本郷追分」からほど近い場所に位置する「川口宿」があった埼玉県川口市を訪れ、歴史と文化、そして盆栽の魅力に触れる散策ルートをご紹介します。

活気あふれる川口駅を出発、歴史の舞台へ

旅のスタートはJR川口駅。駅を降りると、多くの人々が行き交う活気あふれる街並みが広がります。今回の川口巡りのテーマは、江戸時代から残る文化、特に川口に拠点を構える盆栽師たちが育んできた「川口盆栽」の世界を覗くこと。盆栽園は駅から少し離れた場所にあるため、駅近くの貸出ステーションでシェアサイクルを長時間利用で借りて巡ると便利ですよ。もちろん、川口市内は路線バスも充実しており、バスと徒歩を組み合わせた散策もおすすめです。
旅の起点「川口駅」

荒川を渡り、歴史の痕跡を辿る

川口は荒川を挟んで東京都と隣接しています。かつては「川口の渡し」と呼ばれる渡船があり、人々や馬が行き交っていました。歌川広重の浮世絵にも当時の様子が描かれています。現在は、渡船場跡地に一枚の看板が残るのみですが、将軍が通行する際には、その都度橋が架けられたそうです。
現在は新荒川大橋が架かり、誰もが自由に荒川を渡ることができます。改めて橋の上から荒川を眺めると、その雄大な流れに圧倒されます。かつての人々は、この川をどのように眺め、生活していたのでしょうか。川口側の河岸には神社仏閣などの歴史スポットが点在しており、徒歩でのんびりと巡るのもおすすめです。
荒川を眺めて

川口鋳物の歴史と技術

鋳物業は川口を代表する産業の一つで、日光御成道の整備や川の水運の発達により、物流の便にも恵まれ発展してきました。そんな川口の鋳物産業を象徴するのが、増幸産業株式会社の敷地内に展示されている「18ポンドカノン砲」。この「18ポンドカノン砲」は、嘉永5年(1852年)に津軽藩の依頼で、川口の名鋳物師であった増田安次郎氏(増田家初代)が、砲術家の高島秋帆と協力し、当時の技術では不可能とされていた大型の大砲の製作に成功したものを復元したものです。実際に見てみると想像していたよりもはるかに重厚で、本物の迫力に圧倒されます。
18ポンドカノン砲

川口宿の面影を求めて

かつて本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠10軒があったという川口宿。そこから県道89号線に出ると、環状線とのY字路の交差点に小さな広場があり、日光御成道と川口宿を解説するボードと川口宿絵図碑が建てられています。
解説ボードには、川口宿が栄えた当時の地図が描かれており、御成道と川と共にあった当時の人々の暮らしを垣間見ることができます。
川口宿解説ボード
絵図には、鋳物で栄えた川口らしく、鍋や釜を製造する様子が描かれています。かつてこの場所にあった井戸は、その美味しい水を求めてビール会社が進出し、枯れてしまったという逸話も残っています。
ここから北へ進むと、徳川秀忠公が日光社参の際の休憩所とした錫杖寺や、国の重要文化財に指定されている旧田中家住宅など、歴史的なスポットが点在しています。体力や時間と相談しながら、ルートを決めるのが良いでしょう。
川口宿絵図

約500年の歴史を誇る朝日氷川神社

住宅街を抜け、次に紹介するのは、創建500年という歴史を持つ朝日氷川神社です。大きな石造りの鳥居をくぐると、新しく美しい社殿が現れます。境内は緑豊かで、整然とした気持ちの良い空間が広がっています。ここでは、厄落とし体験ができます。赤い地に白抜きで「厄」の字が描かれた「厄割玉」を「厄割石」に打ち付け、粉々に砕くことで厄を払うというものです。
またこの神社は「マナーウェアを着ていない場合は抱っこか、カート乗車」などのルールはありますが、ペットの参拝も認めており、ペットを連れて訪れる方も多く、訪れる方々の憩いの場所になっていることでしょう。
厄割石

川口の誇り、盆栽の世界へ

朝日氷川神社から北上し、芝川を越え、日光御成道の鳩ヶ谷宿を過ぎると、川口が誇る伝統的な植木や盆栽の産地が広がります。この地域には、30軒ほどの盆栽園が点在しています。
近年、盆栽は世界中で注目を集め、「BONSAI」として知られるようになりました。さらに、現代のライフスタイルに合わせて、盆栽自体も進化を遂げています。

はちす葉 BONSAI-Art

まず紹介するのは、『はちす葉 BONSAI-Art』。はちす葉は盆栽 喜楽園5代目園主の監修のもと、「小さな盆栽づくり」や伝統盆栽を軸にアート作家とのコラボレーションによるBONSAI-Artの活動をしています。木々に囲まれた門をくぐり、敷地内に入ると、たくさんの盆栽が並べられています。首都高速道路のすぐそばとは思えない、静かで緑豊かな空間が広がっています。
はちす葉では、「小さな盆栽づくり」のワークショップも開催しており、初心者でも気軽に盆栽作りを体験できます。ハサミを手に、木と向き合い、自分だけの盆栽を作る時間は、忙しい日常の中で自分自身と向き合う貴重な経験となるでしょう。
「はちす葉 BONSAI-Art」盆栽

やじま園

次に紹介するのは、「小品盆栽」を専門とする「やじま園」です。園内には、高さ10~20センチほどの小さな盆栽が所狭しと並んでいます。丁寧に手入れされた盆栽は、どれも個性的で、見ているだけで心が癒されます。
盆栽は一部の愛好家の趣味というイメージがあるかもしれませんが、やじま園を訪れれば、そのイメージは大きく変わります。盆栽は、もっと身近で、誰もが楽しめるものだと感じてもらえるでしょう。
「やじま園」盆栽

川口の味覚を堪能

高京園

少し小腹が空いたら、近くにある煎餅店「高京園」を訪れてみてください。モダンなコンクリート打ちっぱなしの建物に、ガラス張りの開放的な入口という、従来の煎餅店のイメージとは異なるおしゃれな店構えで、店内にはセンスの良いパッケージに入った煎餅やあられが並んでいます。様々なフレーバーがあり、どれも美味しそうで、お土産にもぴったりです。おすすめの「あげあられ」は、醤油の風味がしっかりと染み込み、小ぶりながらも食べ応えがあり、他のフレーバーも試してみたくなります。
その他にも、名物の「ふじせんべい」は、サクサクとした食感が人気で、ふるさと納税の返礼品にもなっているそうです。
「高京園」店内

増廼家

復路は、川口駅方面に向かって日光御成道を南下します。鳩ヶ谷宿を過ぎ、旧田中家住宅の手前には人気の和菓子店「増廼家」があります。店頭のショーケースには、豆大福、最中、どら焼き、道明寺、まんじゅう、海苔巻き、いなり寿司など、豊富な種類の和菓子が並んでいます。しかも、どれもリーズナブルな価格で、ついつい買いすぎてしまいそうになります。
店頭では「おだんご」を購入できます。上品なこしあんがたっぷりとかかったおだんごは、柔らかくて優しい味わいです。おだんごを食べ、満足したところで川口駅へと向かいます。駅周辺には、美味しい揚げ物を提供する肉屋さんや、クラフトビールを楽しめるブルワリーなど、魅力的なお店がたくさんあります。
「増廼家」外観

川口の魅力を再発見

旧街道の歴史や盆栽文化に触れ、地域の魅力的なお店を巡る川口散策は、都内からのアクセスも良く、様々な角度から楽しめる旅になること間違いなしです。その他にも魅力的な場所がたくさんあるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。今回はシェアサイクルを長時間利用でお借りし、めぐりましたが、エリア内にはシェアサイクルのステーションも多数あり、プランに合わせて使われると便利です。またバスや鉄道を活用して、徒歩で巡ることも可能です。皆さんも、それぞれのスタイルで、それぞれの季節の川口を楽しんでみてください。

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